高天ケ原 標高約1700m、東館山と西館山の鞍部に広がる高原。南側の発哺温泉からゴンドラリフトが運行し、交通の便もよい。冬期はスキー場として有名だが、高山植物が咲き誇る夏はハイキングにも好適。道路の西側には寮やホテルなどが点在する。
温泉寺 嘉元3年(1305)に京都臨済宗東福寺[とうふくじ]の虎関師練[こかんしれん]国師が諸国巡行の途中にこの地に立ち寄り、草庵を建てて人々に温泉の効能を教えたのが始まりと伝わる。後に曹洞宗に改宗し、武田信玄が永禄7年(1564)に伽藍[がらん]を整えさせた。
酒蔵美術館ギャラリー玉村本店 地酒「縁喜[えんぎ]」の醸造元玉村本店が、築百年の酒蔵をギャラリーとして再生。3カ月に一度の展示替えで玉村コレクションを公開している。美人画で有名な伊東深水[いとうしんすい]の描いた風景画など、興味深い作品も多い。1階では、酒米を精米するために使った水車の石臼やガラス器を展示。ガラス越しに酒造りの仕込み蔵を見学できるコーナー、清酒縁喜と志賀高原ビールが味わえるコーナーなどもある。
光徳寺 町並みを見下ろす高台にある、臨済宗の古刹。開山は明応9年(1500)。享保10年(1725)、林家によって建立された本堂は、うぐいす張りの廊下や山岡鉄舟の扁額、尾張徳川家の籠などがある。本堂横の庫裏[くり]には、天保年間に住職によって考案された車付きの籠を収蔵。入口石段下の祠に、女性を救うと伝えられる延命地蔵が祭られている。4月の祭礼が近づくと昼夜の気温差で石が夜露に濡れることから、汗かき地蔵の別名がある。本尊薬師如来は、慶長4年(1599)京の仏師・木山によるもの。中部49薬師第21番札所。
妙覚寺 本堂や、十王堂、鐘楼門[しょうろうもん]などが立ち並ぶ臨済宗妙心寺派の古刹。約700年前の創建といわれるが、火災で焼失後、享保11年(1726)に再建された。庭園は手入れが行き届き、四季折々の草花が彩りを添えている。本堂は平成30年(2018)に老朽化の為再建された。
白山神社 境内に檜やスギの天然木が繁る。石垣の覆屋[おおいや]の中には建武元年(1334)の棟札が残る間口1mほどの熊野、伊豆、白山、蔵王の4つの社殿(重要文化財)が並ぶ(拝観は要連絡)。いずれも一間社流造檜皮葺き[いっけんしゃながれづくりひわだぶき]の屋根が特徴的な長野県最古の鎌倉建築とされる。永享11年(1439)の銘のある鰐口も残され、木曽谷の文化の中心だったことがうかがえる。