
温泉地の数と源泉 の総数が世界一を誇る温泉大国、日本。その数は全国で3000を超えるほどで、それぞれに個性的で泉質の違う温泉が各地にある。有名な観光地となっている温泉だけでなく、人里離れたところにひっそり存在する「秘湯」も数多く存在する。この記事では東日本の秘湯をご紹介する。
酸ヶ湯温泉(青森県)

酸ヶ湯温泉(すかゆおんせん)は、青森県の八甲田(はっこうだ)山麓にある一軒宿で、約300年の歴史を誇る国民保養温泉地第一号の温泉です。泉質は酸が強く、豊かな効能を持つ硫黄泉で、神経痛や冷え性に効果があるといわれています。総ヒバ造りの「ヒバ千人風呂」は約260㎡もの広さ。現在も古くからの湯治場として多くの人に親しまれています。 JR青森駅からバスで70分、宿泊者には無料送迎バスが青森商工会議所前から1日に2本出ている。

酸ヶ湯温泉にある「まんじゅうふかし」は、あずまや風の湯治小屋。高温の温泉が噴き出しており、服を着たまま木箱の上に座り、お尻や体を温める。津軽弁で女性の下腹部を「まんじゅう」と呼ぶことからこの名がつき、子宝の湯や若返りの湯として多くの人に親しまれている。
銀山温泉(山形県)

山形県尾花沢にある銀山温泉(ぎんざんおんせん)は、大正ロマンの感じられる風情ある温泉街が人気の秘湯。大正末期から昭和初期に建てられた洋風木造建築の温泉旅館が建ち並ぶさまは、国民的ドラマ「おしん」の舞台や、アニメ映画「千と千尋の神隠し」の油屋のモデルになったともいわれている。山形駅から電車を乗り継いで90分以上かかり、車では山形JCTから1時間の場所にある。

温泉街の真ん中を流れる銀山川沿いには、温泉旅館と同じ源泉が引かれた足湯「和楽足湯(わらくあしゆ)」がある。昔ながらの共同足湯で、長旅の疲れを一休みして癒やすのにぴったりだ。銀山温泉の町並みを眺めながら、秘湯の旅の風情に浸ろう。
奥鬼怒温泉郷(栃木県)

栃木県日光市にある鬼怒川温泉(きぬがわおんせん)駅から、さらにバスに揺られること110分。奥鬼怒温泉郷は日光国立公園内にある秘湯で、車も女夫渕(めおとぶち)駐車場までしか乗り入れられず、そこから先は4軒ある温泉宿の送迎バスか、遊歩道を1時間半ほど歩かないと訪れることができない。ブナの原生林に囲まれた自然豊かな環境も魅力のひとつだ。

奥鬼怒温泉郷の温泉は、4軒ある温泉宿ごとに泉質が違い、硫黄泉、塩化物泉、単純泉、炭酸水素塩泉などがある。日帰り入浴OKの宿もあるので、湯宿を巡って好みのお湯を見つけるのも奥鬼怒温泉郷ならではの楽しみだろう。
地獄谷温泉(長野県)

地獄谷温泉(じごくだにおんせん)は、長野県山ノ内町にある山深い秘湯。湯田中渋温泉(ゆだなかしぶおんせん)からさらに横湯川(よこゆがわ)を遡った一番奥にあり、宿は1軒のみ。JR長野駅からバスで40分、その後徒歩で30分、車では地獄谷駐車場から徒歩10分とはいうものの、冬期は駐車場が閉鎖となるため、上林温泉から徒歩30分ほどかかる。宿のそばにある噴泉は国の天然記念物に指定されている。

アクセスのよくない秘湯でありながら、外国人観光客が多いことで知られるのは、なんといっても「スノーモンキー」の存在。地獄谷野猿公苑(じごくだにやえんこうえん)では、冬になると雪の中、温泉に浸かるニホンザルたちが見られることで知られる。
奥飛騨温泉郷(岐阜県)

奥飛騨温泉郷(おくひだおんせんごう)は岐阜県高山市にある北アルプス山麓に位置する5つの温泉地のこと。露天風呂の数は日本有数で、北アルプスの四季を肌で感じることができる景観の良さが魅力。100を超える源泉から4種類の泉質の温泉が湧き出ているため、湯巡りをするのも楽しい秘湯だ。電車ではJR松本駅から高速バスで90分、JR高山駅から路線バスで60分かかる。

奥飛騨温泉郷は北アルプスの3000m級の山々の麓に位置するため、四季折々の景観が楽しめるのも魅力のひとつ。バスターミナルから近い温泉宿や山里の風情が残る温泉宿など、登山やハイキングの合間に温泉宿に泊まるのにも良い。