松川渓谷 約9kmも続く日本有数のV字渓谷。上流に向かって山田・五色・七味の各温泉が点在する。紅葉の名所としても有名で、シーズンにはカエデ・ブナ・ナナカマドなどが、赤や黄色で鮮やかに渓谷を彩る。また、山田温泉の高井橋から薬師堂にかけて渓谷沿いにある舞の道遊歩道も設けられているので散策したい。
山田温泉 大湯 山田温泉のシンボルであるとともに、信州高山温泉郷の代表的な公衆浴場。現在の建物は平成元年(1989)に建て替えられたものだが、入母屋と唐破風をもつ桃山風の建物。以前の素朴さがそのまま残されている。館内は湯船はもちろん、壁や天井、窓の桟にいたるまで木を使用。柱や湯船の縁には檜が使われ、木の香漂う風情あふれる造りがすばらしい。早朝には湯けむりが立ち込め、山の湯情緒を一層盛り上げている。
子安温泉 総木造りの浴槽に源泉かけ流しの褐色の湯がたたえられる日帰り温泉。素朴な佇まいは、秘湯と呼ぶにふさわしい。含有成分は、総計で1kgあたり約8000mgとかなりの高濃度。ナトリウム、カルシウム、硫酸、鉄、ヨウ素など、多くの物質が溶け込み、泉質のよさは抜群。また安産・子授け・子育ての神様を祀る子安神社の近くにあり、「子宝の湯」としても知られている。
光徳寺 町並みを見下ろす高台にある、臨済宗の古刹。開山は明応9年(1500)。享保10年(1725)、林家によって建立された本堂は、うぐいす張りの廊下や山岡鉄舟の扁額、尾張徳川家の籠などがある。本堂横の庫裏[くり]には、天保年間に住職によって考案された車付きの籠を収蔵。入口石段下の祠に、女性を救うと伝えられる延命地蔵が祭られている。4月の祭礼が近づくと昼夜の気温差で石が夜露に濡れることから、汗かき地蔵の別名がある。本尊薬師如来は、慶長4年(1599)京の仏師・木山によるもの。中部49薬師第21番札所。
妙覚寺 本堂や、十王堂、鐘楼門[しょうろうもん]などが立ち並ぶ臨済宗妙心寺派の古刹。約700年前の創建といわれるが、火災で焼失後、享保11年(1726)に再建された。庭園は手入れが行き届き、四季折々の草花が彩りを添えている。本堂は平成30年(2018)に老朽化の為再建された。
白山神社 境内に檜やスギの天然木が繁る。石垣の覆屋[おおいや]の中には建武元年(1334)の棟札が残る間口1mほどの熊野、伊豆、白山、蔵王の4つの社殿(重要文化財)が並ぶ(拝観は要連絡)。いずれも一間社流造檜皮葺き[いっけんしゃながれづくりひわだぶき]の屋根が特徴的な長野県最古の鎌倉建築とされる。永享11年(1439)の銘のある鰐口も残され、木曽谷の文化の中心だったことがうかがえる。