薬王寺 永仁元年(1293)、日蓮の孫弟子日像[にちぞう]上人が開山した。本堂の日蓮聖人像は口を少し開けた珍しいもの。境内右手には徳川家光の弟忠長の供養塔が立つ。春は参道の桜並木が美しく、5月はシャガ、6月にはイワタバコなどが咲く。
六地蔵 由比ケ浜大通りに立つ赤い頭巾と前掛けを掛けた六体の小さな地蔵。鎌倉時代、このあたりのやや北に刑場があったといわれており、処刑者を弔うために祀られたものだという。地蔵の傍らに「夏草やつはものどもが夢のあと」の松尾芭蕉の句碑がある。
海蔵寺 足利氏満[うじみつ]の命を受けた上杉氏定[うじさだ]が、空外[くうがい]を開山として応永元年(1394)に再建した臨済宗の寺。鎌倉三十三観音霊場の第二十六番札所。扇ガ谷の静かな住宅街にあり、カイドウをはじめ、梅、水仙、萩など花の寺としても名高い。境内には天明5年(1785)建立の庫裡や、浄智寺から移されたという仏殿、大正時代に再建された本堂などが立つ。山門前右手には鎌倉十井のひとつ底脱[そこぬけ]ノ井、左手奥の崖下に十六ノ井がある。
熊野神社 堂ケ島、宮ノ下、底倉温泉の鎮守として地元の人々に親しまれてきた神社。毎年9月には例祭が行われる。温泉を引湯する地域の旅館や各家庭の人々が温泉を供え、温泉に感謝する。また、6月中旬には境内にアジサイの花が咲き、小さな社を彩る。