
日本の国技である相撲は、日本の伝統文化や歴史が感じられるスポーツ。日本で見てみたいと考える人も多いはず。この記事では相撲がどのようなスポーツで、いつどこで見られるのか、会場の詳細や相撲のルールを解説。実際に観戦する際の参考にしてほしい。
大相撲を見に行こう!

日本の国技であり、長い歴史のある相撲。その始まりは紀元前23年頃、神話の時代にあるといわれている。当初は農作物の作況を占うために行われたとされ、宮中行事だったものが長い歴史を経る中で庶民の娯楽へと広がっていった。1年に6回ある大相撲の場所中は、多くの相撲ファンが会場へと足を運び、テレビでも中継が行われる。大相撲を観戦したいと思っても、1年を通じて行われているものではないため、いつどこで行われているのかを確認しないと観戦できない。まず最初にいつどこで大相撲が開催されるのか確認しておこう。大相撲の場所はすべて奇数月に行われ、下記のようなスケジュールになっている。
| 1月場所(初場所) | 3月場所(春場所) | 5月場所(夏場所) | 7月場所(名古屋場所) | 9月場所(秋場所) | 11月場所(九州場所) |
| 東京 | 大阪 | 東京 | 名古屋 | 東京 | 福岡 |
各場所とも開催期間は2週間。開催期間中は朝8時(場所によって異なる場合あり)に会場が開き、最初に力士の強さを表す「番付表(ばんづけひょう)」に記載されない力士たちが相撲を取る「前相撲(まえずもう)」が行われる。その後に番付表でいう「序の口(じょのくち)」の力士の取り組みから開始され、徐々に強い力士の取り組みへと1日かけて取り組みが進んでいく。大関(おおぜき)をはじめとする「幕内力士(まくうちりきし)」が土俵入りするのは15時40分頃。大勢の幕内力士が美しい刺繍が施された化粧まわしをつけ、ずらりと土俵に上がる様子は圧巻だ。その後横綱(よこづな)の土俵入りが行われ、いよいよ幕内力士の取り組みが始まる。その日の取り組みがすべて終わり、土俵の邪気を払う「弓取式(ゆみとりしき)」が行われるのは18時前。相撲を観戦する多くの人は幕内力士の土俵入り前に会場を訪れるが、朝からじっくり観戦を楽しむ熱心なファンも少なくない。
大相撲の番付とは
「番付(ばんづけ)」は大相撲における力士の順位を表すもので、全部で11の地位に分かれている。下から順に「番付外(ばんづけがい)」「序ノ口(じょのくち)」「序二段(じょにだん)」「三段目(さんだんめ)」「幕下(まくした)」までの5つに属する力士は「力士養成員(りきしようせいいん)」とされ、「十両(じゅうりょう)」「前頭(まえがしら)」「小結(こむすび)」「関脇(せきわけ)」「大関(おおぜき)」「横綱(よこづな)」を「関取(せきとり)」と呼ぶ。また、「小結」「関脇」「大関」を「三役(さんやく)」と呼び、横綱に次いで重要な地位を占める力士としている。力士の順位を紙に記したものを「番付表」と呼び、日本相撲協会のオンラインストアで1部55円で購入することができる。
相撲のルールを知ろう!

相撲を観戦していると、力士の所作(しょさ)が気になるかもしれない。例えば力士が土俵に入る前、深く腰を落とした「蹲踞(そんきょ)」という姿勢で手をもみ、拍手を打って両手を広げ、手のひらを返す「塵手水(ちりちょうず)」という所作があるが、これは土俵に上がった後に身を清めるためのもの。さらに片足を上げ下げして踏む「四股(しこ)」は、大地を力強く踏みしめることで、土俵の穢れ(けがれ)を祓い(はらい)清め、五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈る意味合いがある。力士が行う一つ一つの所作は、場所を清め、豊作を願う意味合いがある神聖なものなのだ。
取り組み前の所作にも注目!

力士が土俵に入ってからも、所作には決まりがある。2人の力士が土俵に上がって相対し、土俵の中央にある2本の「仕切り線」を挟んで土俵に両手をつき、立ち会いの身構えをする。これは、相手の出方をうかがうことや、互いの呼吸を合わせるための所作で、構え方はいろいろある。日本語には「仕切り直し」という言葉があるが、呼吸が合わなかった場合に仕切りを最初からやり直すことから、物事をはじめからやり直すことをさす言葉の語源となっている。
仕切りには制限時間が設けられており、幕内の力士であれば4分以内に立ち会いを成立させる必要がある。時間内に呼吸が合わない場合は「仕切り直し」となる。

力士が立ち合うのとほぼ同時に、大相撲の審判と進行を務める行司(ぎょうじ)の「はっけよい!」というかけ声がかかり、取り組みが始まる。静かに張り詰めた静寂のさなかに、力士がぶつかり合う音は相撲でしか体験できないもの。ルールは至ってシンプルで、土俵の周りを円形に巡らせてある俵から足が出たり、足以外の体の部位が土俵の土についたら負けとなる。もちろん、取り組み中にしてはいけないルール違反である「禁じ手」もある。以下に挙げるものは禁じ手となる。
- 拳で殴る
- 髷(まげ)をつかむ
- 急所を突く
- 喉をつかむ
- 胸・腹を蹴る
- 相手のまわしの前部分をつかむ
- 両耳を張る
- 指を折り返す
また、まわしの前が外れて陰部が露出した場合、その力士は「反則負け」となる。

勝敗がつくと、場内放送係の行司から「決まり手」という、どのような技で力士が勝ったかが告げられる。現在、日本相撲協会が決めた決まり手には82手あり、これに非技(勝負結果)が5つ加えられる。代表的な決まり手には「押し出し」「寄り切り」「突き落とし」などが挙げられる。決まり手82手は日本相撲協会のサイトにも掲載されているので、チェックしておくとさらに観戦が楽しくなるだろう。
また、禁止事項は力士だけでなく観客にも設けられているので注意が必要だ。下記は観客に禁止されている事柄なのできちんと守るようにしよう。
- 暴言、脅迫、恐喝、威嚇、暴力などの粗暴行為
- 物を客席や場内に投げつける行為
- 立ち入り禁止場所への立ち入り
- 自由席などで必要以上に座席を確保する行為
- 許可なく物品を販売したり、チラシを配布したりする行為
- 大声で騒ぐなど、場内を騒がせる行為
大相撲観戦チケットの購入方法

大相撲は場所をやっているときに会場に行けばすぐに見られるというものではなく、コンサートなどと同様にチケットを購入する必要がある。チケットは現在、「チケット大相撲」というサイトでのインターネット販売や電話販売、相撲案内所のサイトから購入できるようになっている。席には4種類が設けられている

| 溜席(たまりせき) | 土俵の砂が飛んでくるほど近いため、砂かぶりとも呼ばれる土俵際の座布団席。1席10000円~20000円。 年齢制限があり、飲食物や危険物の持ち込みは不可、カメラ、携帯電話の使用は禁止と制限が多くチケットも高額となる。 |
| 枡席(ますせき) | パイプで四角く仕切られた中に4枚の座布団が敷いてある席。6人まで利用できる。1枡34000円~60000円。 九州場所以外は「お茶屋」と呼ばれる相撲案内所からチケットを買うとおみやげやお弁当も予約できる。 |
| 椅子席 | 東京の日本国技館では2階席に当たる。シートの仕様で4種類に分かれており、価格も変わる。1席4500~7000円。 |
| ボックス席 | 外国人観光客に対応して造られた座席で、4~5人のグループで利用できる。4人席で29200円。 相撲案内所でしか取り扱っておらず、相撲部屋が後援会用におさえてしまうことから入手困難な席として知られている。 1階の最後列にあるため、オペラグラスなどを持って行くと便利。 |
相撲を見に行くときの服装は?
相撲を観戦しに行くときのドレスコードは特にないが、椅子ではなく座布団に座ることが多いため、動きやすい服装で行くことがおすすめだ。寒暖差を考えて上に羽織れるものを持って行ったり、靴は脱ぎ履きしやすいもの、暑い時期は扇子などを持って行くと重宝する。
観戦に当たっての決まり事が多い大相撲だが、シンプルなルールと迫力のある取り組みは、誰が見ても引き込まれるもの。また、日本文化の片鱗を感じることができるのも魅力のひとつだ。ぜひチケットを取って観戦を楽しんで欲しい。



