
愛知県のソウルフードを提供するお店として知られる「スガキヤ」。オリジナルの魚介と豚骨のWスープを使った縮れ麺のラーメンは、ワンコイン以下の手頃な価格。ソフトクリームをはじめとするスイーツもあり、小さな子供からお年寄りまで幅広い世代に親しまれている。この記事では、愛知県民にこよなく愛されているスガキヤの魅力について紹介する。
戦後間もない頃に生まれた「寿がきや」

スガキヤの前身となる「甘党の店」ができたのは、第二次世界大戦後すぐの1946年のこと。創業者の菅木清一(すがきせいいち)氏が、空襲で焼け野原となった名古屋の中心地、栄(さかえ)に移り住み、日々の食事に困る人々を助けようと、日活スタジアムの横に飲食店を開業したのがその始まりだ。その後1948年に店名を「寿がきや」と改め、店舗展開を始めた。スガキヤというとラーメンのイメージがあるかもしれないが、創業当初はどちらかというとぜんざいや焼き芋などの甘いものを提供していたという。そんな中、店の向かいにあった中華料理店に通う人々を見て、ラーメンを出すようになったのだという。
ショッピングセンターのフードコートなどでおなじみの存在

現在スガキヤは愛知県をはじめとする東海地方や近畿地方にある、大型ショッピングセンターのフードコートを中心に店舗を構えている。店舗数は257店を誇り、その9割が愛知・岐阜・三重の東海三県に集中している。ラーメンを提供しているが、いわゆる「ラーメン通」をうならせるようなラーメンを提供する店ではなく、誰もが入りやすい「普段使いのお店」なのが魅力。また、何よりも価格が安く、ボリュームもしっかりある点が挙げられる。さらに、ラーメンの後にソフトクリームなどの甘いものを食べたり、カフェとして利用したり、たこ焼きを食べたりと、いろいろなものを一緒に食べられ、使い勝手がいいのも人気の理由だろう。

ラーメン店というと、男性のひとり客が多いイメージがあるかもしれないが、スガキヤは店内の雰囲気もかわいらしい内装の店舗もあり、女性同士のグループやファミリーがカフェとして使ったり、学習塾へ通う子どもたちが小腹を満たすために訪れるなど、性別を問わず幅広い年齢層の顧客から支持を受けている。
老若男女に幅広く親しまれるラーメン

麺類は定番の「ラーメン」430円(税込)に、チャーシューやメンマ、野菜など、プラスするトッピングの種類で価格が変わるスタイル。スープは和風豚骨で、あっさりとしていながらもコクのある味わいだ。名古屋グルメというと味噌煮込みうどんや味噌カツなど、味の濃いものが多いが、あっさりとした味わいのスガキヤのラーメンは、軽く食べたいときにぴったりで、それがソウルフードとして定着する理由になったのだろう。手軽に済ませたいランチタイムなど、さっと食べられておいしいラーメンは重宝な存在だ。
オリジナルの「ラーメンフォーク」誕生の秘密

スガキヤで初めてラーメンを食べる人が驚くのは、「ラーメンフォーク」が添えられてくることではないだろうか。スプーンの先にフォークがついたような形で、ラーメンを食べるときに麺をすくい上げ、スープをすくって飲むこともできる。このラーメンフォークができたのは1978年。折しも当時は割り箸の大量消費が環境問題となっており、経費節減にも役立つことから、スプーンとフォークが一体となったラーメンフォークを、同じ愛知県に本拠地を置く食器メーカー「ノリタケ」と共同開発した。写真の左側はフォークの先が3本の旧デザインだが、2007年にフォークの先が4本の右のデザインにリニューアルしている。ラーメンフォークも店舗で販売しているので、おみやげにするのにもいいだろう。
スガキヤの新たなる挑戦「たこ寿」

また、スガキヤはラーメンだけでなく、新たな挑戦としてたこ焼きの提供を始めている。2024年にたこ焼き専門店「たこ寿(たこじゅ)」をそよら鈴鹿白子に開店し、店舗を展開している。スガキヤのラーメンスープを生かしたたこ焼きで、深みのある味わいが特徴。もちろんラーメンも一緒に食べられるので、その味わいを一緒に試すのもおすすめだ。

そして忘れてはならないのが、「甘党の店」として開業した頃を思わせるスイーツの数々だ。ソフトクリームや、ソフトクリームの乗ったクリームぜんざい、フラッペをはじめ、バラエティ豊かなメニューが並ぶ。ショッピングセンターで買い物に疲れたら、スガキヤに寄って一休み、なんていう使い方もできるのだ。

親しまれているのはラーメンやたこ焼き、スイーツだけではない。オリジナルキャラクターの「スーちゃん」もまた、愛知県民なら知らない人はいないキャラクターだ。1958年に一般公募で生まれたオリジナルキャラクターで、お店のイメージアップや販売促進の場で活躍し、地道に知名度を高めてきた。1965年に現在のデザインに近いものへと変更され、今はさまざまなグッズになって多くの人々に親しまれている。キーホルダーやエコバッグは、愛知県のおみやげにするのにもぴったりだ。
ちょっと小腹が空いたときや、甘いものや飲み物で一休みしたいとき、ガッツリ食べたいときなど、どんなときにもその欲求を満たしてくれるスガキヤ。親しみやすいお店でリラックスして、気軽に料理を味わいたい。
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