ASMUI -Spiritual Hikes 沖縄本島最北に位置する四連の岩山 「安須森[あすむい](辺戸御嶽)」は、沖縄最古の歴史書『中山世鑑』に、琉球開闢の神が最初につくった聖地とされる霊山。数多くの拝所が点在するシャーマンたちの祈りの場であり、杜の主ともいわれる巨大ガジュマル「御願[うがん]ガジュマル」があるなど、スピリチュアルな気に満ちている。そんな特別な杜に足を踏み入れると、この地に潜む物語を感じることができる。
茅打バンタ 宜名真[ぎなま]の集落から山道を上る旧道沿いに続く、高さ80mもの切り立つ断崖。バンタとは崖の意で、束ねた茅を崖から投げ込むと、強風に打たれてバラバラになることからこの名がついた。茅打ちバンタに向かう道は、曲がりくねった急な坂道で、ここで行き会うとどちらかが下がって道を譲らなくてはならなかったので、戻り道とも呼ばれていた。崖の上の展望台から眼下を見下ろせば、思わず目もくらむ高さを実感できる。先に目を向けると、澄んだ海原に浮かぶ伊平屋[いへや]島や伊是名[いぜな]島が見渡せる。
立神岩 切り立った断崖に囲まれた与那国島の中でも、東南部は最も厳しく、男性的な風景を持つエリア。荒い外海により気が遠くなるほどの時間をかけて造り出された奇岩が点在する。東崎からほど近いところでは、幾層にも分かれた断層を岩肌に見せるサンニヌ台がある。展望台からは、その名の通り軍艦のように見える軍艦岩が、今も波に洗われているのが見える。サンニヌ台から歩いて5分ほどの場所には、その岩の頂上から降りられなくなった若者が、神様に助けられたという伝説が残る立神岩が屹立している。
中村家住宅 約280年前に建てられた豪農屋敷で、沖縄戦の戦災を免れて琉球王朝時代の民家構造を完全に残している。享保10年(1720)頃には地頭職であったため、士族屋敷の形式としての風格もある。ほかにもトゥングワとよばれる屋根裏部分を物置きに使用するために屋根が低くなっている台所や、フールとよばれる豚小屋などに特徴がある。中世の日本の家屋と中国の建築の影響が随所に見られ、琉球時代の裕福な農家の暮らしを今に伝えている。