若宮神社 春日大社南門前の100mほど南、石燈籠が密集する御間道[おあいみち]の奥に社殿が佇む。師走に春日若宮おん祭[まつり]が行われることで知られる、春日大社の摂社。本社の祭神天児屋根命の御子神、天押雲根[あめのおしくもね]命を祭ることから若宮と呼ばれる。本殿は本社と同じ大きさの一間社春日造で、江戸時代の建築。神楽殿[かぐらでん](重要文化財)は桃山時代の再建だが、平安朝寝殿造の形式を伝えている。
白毫寺 志貴皇子[しきのみこ]の山荘跡を寺にしたと伝えられ、鎌倉時代に叡尊[えいそん]が再興した。宝蔵には閻魔王坐像(重要文化財)がどっしりと鎮座。眼光鋭く、口をカッと開いて迫力満点。眷属の司命[しみょう]・司録[しろく]像(重要文化財)とともに鎌倉時代の康円一派の作だ。境内からの眺望もよく、参道の石段は秋、萩に覆われる。3月下旬ころには五色椿が花を開く。
金峯神社 世界遺産 延喜式内大社名神大社。吉野山の奥千本にひっそりと立つ古社で、金峯山(吉野山から大峯山上ケ岳一帯)の地主の神。金精明神[こんしょうみょうじん]ともよばれる金山毘古神[かなやまひこのかみ]を祀る世界遺産の神社。中世以降、修験道の行場として知られる。藤原道長が参詣し埋納した金銅製の経筒(国宝)が江戸時代に発掘された。社殿を少し下った所に、追っ手に追われた源義経が身を隠したという義経隠れ塔が残る。追っ手に囲まれた際、屋根を蹴破って逃げたことから、蹴抜けの塔ともいわれる。
金剛寺 平重盛[たいらのしげもり]によって平安末期に創建されたと伝わる古刹。本堂に藤原時代作の本尊薬師三尊像を安置する。ボタンの名所としても知られ、季節には100種1000株の艶やかなボタンが咲き誇る。ツツジ、大山レンゲや小菊も美しい。